愛猫が腎不全で自宅での皮下点滴が必要になった時に知っておきたい事!

皮下点滴の基礎知識

ソルラクト

慢性腎不全を起こしている猫では、多尿、食欲低下、嘔吐などの症状により体液量が減少し、脱水症状を起こします。脱水は腎臓の血流を悪くし、腎臓にさらなるダメージを与え、迅速に脱水の改善を行わなければ重篤な腎機能障害を引き起こします。

いったん水分の喪失が補正されても腎不全は完治することはないため、その後も絶えず体液は喪失し続けます。そのため慢性腎不全の猫は継続的な輸液療法が必要となります。

通院による皮下点滴も可能ですが、腎不全のステージによっては毎日の皮下点滴が必要なことも少なくなく、毎日の通院は様々な面で飼い主様にも負担が大きいため、皮下点滴のやり方を飼い主様に覚えて頂き、自宅での皮下点滴治療を行っていくことがほとんどです。

ソルラクトは、水分補給を目的にした薬液の商品名です。輸液チューブと翼状針を繋ぎ、点滴をする方法です。これは獣医さんによっておすすめの方法が違うようで、注射器を使って注入する方法もあります。

 

皮下点滴する上での注意点!!

一度使った針は再使用NG

猫が座っていると背中が丸くなるので、翼状針を刺す肩甲骨あたりの皮膚が十分引っ張れません。

引っ張りが足りないまま刺すと、針の角度が悪いようでうまく皮下に達しないこともあります。これは輸液の落ち方でわかりますが、刺さっている深さや角度を変えてみたり、刺し直しすることになります。

始めの頃は猫が嫌がる事があるため規定の分量が落ちる前にあきらめる事もあるかもしれませんが、一度使った針は再使用NGです。そういう場合は必ず予備の針を準備しましょう。

参考ブログ

 

針の刺しなおし

おそらく皮下点滴を自宅で行っている人なら1度は経験するのではないでしょうか。一度皮膚に触れさせた針は「消毒すれば2、3回ぐらいは使用できる」「1回でも失敗したなら変えた方がいい」とネット上でも意見は様々です。

これから自宅で皮下点滴を始める場合は、あらかじめ獣医さんに失敗したときの針の処理方法を尋ねておきましょう!

 

詮の締め忘れ

1回の点滴で1/2を入れて、残りは次回用に取っておく場合(1袋で点滴2回分)、使用後は栓をきちんと締めておく必要があります。

栓の締め忘れが内容に気を付けましょう。

 

皮下点滴の保存方法や使用期限は?使用前は温めた方が良い?

・輸液剤の使用は開封後1週間以内が目安

冷蔵庫で保管する方が無難だが、2~3日であれば、室温保存でも可

・ブドウ糖が混和されている輸液剤は腐敗しやすい

・輸液する際は、常温~38℃くらいの温度にする

 

皮下点滴の1回の量は?~計算方法を知りたい~

皮下点滴の必要量は、脱水(不足)している水分量です。脱水しているかどうかの判断は、こちらのブログ↓↓を参考にしましょう。

 

皮下点滴による副作用

肺水腫

皮下点滴によって生じる恐れがある副作用で一番多いものが肺水腫です。原因は、輸液量が多すぎること。

その場合は1回の量か、1日の回数を再検討する必要があります!心臓と肺はつながっていて、点滴によって血流量が多くなって心臓が送りだすキャパを超えてしまうと、水分が肺に溜まってしまいます。

 

高血圧

副作用で肺水腫に次いで多いのが、高血圧です。

慢性腎臓病の猫の20%は、皮下点滴をしていなくても高血圧を合併していると言われます。高血圧の悪化要因として体液量(循環血液量)の増加や、血管へのダメージがあります。

脱水具合に比べて皮下点滴量が多すぎると、体液の循環量が増えて、高血圧が悪化することがあります。

 

水中毒

 

 

自宅での皮下点滴の方法

参考ブログ

 

点滴後の観察ついて

おしっこをたくさんする

猫は慢性腎不全になると、おしっこをたくさんします。腎臓のフィルター機能が落ちているので体内の老廃物・毒素をしっかり濾しとって濃いおしっこをすることができず、薄いおしっこをたくさんすることでそれをカバーしようとするからです。

おしっこをたくさんすると当然体内の水分は減ります。普通に水を飲んでその分を補給できれば良いんですが、猫はもともと砂漠生まれの動物なので水を大量に飲む習性はなく、どうしても脱水状態になりやすい生き物です。

それを補助するのが皮下輸液の目的です。栄養補給やお薬投与ではなくあくまで水分補給が目的だから生理食塩水かリンゲルが使用されます。

 

体がふくらむ

点滴後は入れた場所から下の方にかけて身体が目に見えてふくらみます。但し、それがゆっくり吸収されて翌朝には元通りになりますので心配しないで下さい。

猫によっては輸液後(脱水が解消され)ぐっと元気になる、食欲が出て活発になる場合もある様です。

 

お腹の横(または腕)にしこりができる

点滴後、溜まった点滴が重量で猫の側面にズレてきて、りができる事がありますが、自然に点滴は吸収され消失するので問題ありません。

 

点滴が漏れている(液漏れ)

多めに点滴すると刺入した部位から点滴が漏れることがありますが、脱脂綿などを使い、点滴が終わって針を抜いた後に液が漏れていなくても、しばらく注射痕を押さえて様子を見るようにしましょう!

 

点滴した場所から血が出る

刺入した部位から出血し多少血が滲むことがありますが、背中の皮膚には大きな血管は走っていませんので、ガーゼで圧迫することで自然とおさまります。

万が一、10分以上圧迫しても出血が止まらない場合はかかりつけの病院に連絡してください、凝固異常の可能性があります。

 

抜き忘れにより空気が入る

血管注射と同じく、皮下点滴も刺す前には注射器の中の空気を抜かなければいけません!

但し皮下補液の場合には、多少の空気が入っても問題ありません。空気が入ると皮膚を触ったときに、プチプチ言うこともありますが、多少なら大丈夫です。

 

高熱が出る・皮膚が変色する・体からネバネバした液体が出てくる

点滴後、身体の特定の場所に補液が溜まり時間が経過してしまうと、高熱が出たり皮膚が変色したり、そこから皮膚が壊死していて自壊し身体からネバネバした液体(膿)が出てくる事があるようです。

腎不全診断受けると必ず皮下補液が必要になります。通常の猫ちゃんなら問題ないですが、皮下補液した後は必ず身体に吸収しているかを確認するようにしましょう。

 

日常の経過観察について

嘔吐や食欲不振、よだれが出たり、口臭が出る

猫ちゃんの慢性腎不全は長ければ2〜3年かけて少しずつ進行していきます。そのため、長い間少しずつ多飲多尿の状態が進行していきますので、なかなか気付かない事もあるかと思います。

また、進行すると、多飲多尿だけでなく、悪心や嘔吐食欲不振といった尿毒症の症状が出てきます。そして悪心に伴い、よだれがたくさん出たり口臭が出てきたりといった変化も起きてきます。

こうなると気持ち悪くてお水もあまり飲まなくなってしまいます。しかしお水を飲まなくても変わらず薄いおしっこが出続けるので、脱水が進み、衰弱してしまいます。

その為、この様な症状が疑われる場合はすぐに尿検査や血液検査を行いましょう。

1番最初に出てくる変化としては尿検査でのおしっこの薄さです。次に出てくる変化として血液検査での腎臓の数値の上昇ですが、血液検査で変化が出て時には、腎臓の3/4の機能低下が認められている状態と言われている為、尿検査で出来るだけ早期発見する事を心がけましょう!

 

食べ物を残す

猫がフードをこれまで以上に選り好んだり残したりしていたのは、「療法食がおいしくない」「お腹が減っていない」というより「脱水による気持ち悪さが大きい」という事があります。

愛猫が腎臓病でフードをこれまで以上に選り好みしたり、残すことが多くなったら、「脱水状態」を考えましょう。

参考ブログ(※症状別の対処方法)

 

食事療法について

慢性腎不全は残念ながら完治させることはできませんので、進行を遅らせて少しでも余命を長くするための治療を開始しましょう!

まずは、臓に悪影響を与えそうなあらゆる要素を取り除くことから始まります。具体的には、たんぱく尿や貧血の改善脱水症状の緩和血中のリン濃度を下げることなどです。

内服治療や注射を用いるケースもありますが、メインとなるのは食事療法です。良質な蛋白や失いがちなビタミンを効率的に摂取して、リンやナトリウムを制限する腎疾患専用の療法食を心がけましょう。

腎不全になるとただでさえ食欲が落ちますので、慣れない療法食を猫に食べさせるのは困難です。しかし猫が食べるのを嫌がったからといって、飼い主が途中で投げ出してはいけません。

2週間ほど根気強く続ければ、慣れて食べるようになりますので頑張りましょう!一般食を食べ続けた腎不全の猫の、発症後生存期間が平均264日なのに対し、療法食を食べ続けた猫は633日生きたというデータもあります。

参考ブログ(※症状別の対処方法)

 

その他(飼い主さんへのアンケート)

 

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